年寄りって、
人生経験も長いので、
その経験値から、他の意見を聞かないところがある。
母は、非常に素直な人だが、
それでも、心配して注意すると、
「大丈夫、慣れているから」と言う。
庭の踏み石が1個だけ飛び出ていて、
「そこは、絶対につまずく元だから、取らないと危ない」
「そうかな」
「角もあるし、大けがするよ、植木屋さんに頼んだら?」
今回は、私も引かなかった。
ちょうど、いつもの業者が立ち寄る事になっていたので、
「絶対、危ない」を言い続け、
私が帰ったあと、撤去してもらったらしい。
「歩きやすくなったわ」
・・・・・・
撤去した場合の石の置き場も指示していたので、
ちょっとだけホッとした。
でも、一緒に暮らしていると、
もしくは近所に住んでいて、もう少し頻繁に実家に帰れると、
もっと気が付く事もあると思う。
事故が起こってからでは、
骨折してからでは遅いのだ。
色々思う事も多い実家帰りでした。
帰ってきてから、ふと気が付いた。
なーんだ、母の日だったわ、
帰るまでは覚えていたけど、
「何もいらない」とのことで、スッカリ忘れていた。
母が、帰る前日にポツリと言った。
「私ね、何か一つだけのぞみを叶えてあげるといわれたら・・・・」
「私の母に、もう一度会いたいわ」
母の母は、
母が私を出産し、中央区法円坂の病院から退院した日に倒れた。
そして、一時は持ち直したが、2年後に脳溢血で失くしている。
子育ての真っ最中、
姑と同居、の状況でしょっちゅう実家に帰ることもできず、
母はさぞかし心細かっただろう。
だけど、87才になっても、やっぱり、お母さんなんだな。
胸がいっぱいになって、ボロボロ涙が出てきた。
母は一人娘なので、
父が急死した時も、悲しみを分け合う姉妹もいない。
そうして、バカ娘が嫁いだ後も、
ずっと一人で暮らしてきたが、
この世の中に、たった一人しかいないお母さん、
87才の母の脳裏に浮かぶ、母の母、
50代で亡くなられたままのお母さんなんだろうな。
「〇〇ちゃんは、娘の近所に居て」
「これからも見守って支えてあげなさい」
「健康に気を付けて、長生きしないといけないのよ」
そうだなと思った。
自分だけの命ではないのだから。
私は幸せだと思う。
62才になっても、こうして母に説教してもらえる。
幸せな実家帰りでした。
ありがとう。
そして、母の日、いつもありがとう。
紫蘭、
今年は咲いている頃に帰れました。
雑草がない・・・ウソみたいな話です(笑)
そりゃ、忙しいと思うわ。
日常の、
何気ない、ひとつづつ
目に焼け付けて帰ってきました。